01.ICタグ・RFタグの基本構造
ICタグおよびRFタグは、ICチップとそれに接続したアンテナで構成されています。これをインレットと呼びます。
ICタグ・RFタグはインレットのみで使用されることはほとんどなく、用途に応じてさまざまな保護素材で加工することで、ICカードやラベルタグとして利用されます。
02.ICタグ・RFタグ・RFIDタグの違いは?
「01. ICタグ・RFタグの基本構造」でご説明した通り、ICチップとアンテナを保護素材で加工したものが「ICタグ」です。RFIDとは、このICタグだけでなくRFIDリーダー等の機器を含めた総称のため、「RFIDタグ」はICタグと同義で使われています。
最近では「RFタグ」と呼ばれることが一般的になってきているようですが、呼び方が違うだけで全て同じものを指しています。
当サイトの中では「ICタグ」「RFタグ」「RFIDタグ」いずれかで表記していますが、これらはすべて同義で使用しています。
03.ICタグ・RFタグの種類
バッテリー搭載による分類
「パッシブタグ」と「アクティブタグ」
バッテリー搭載の有無による分類では、「パッシブタグ」、「アクティブタグ」、「セミアクティブタグ」の3種類があります。現在、広く一般的に使われているのは、バッテリーを持たない「パッシブタグ」です。
ICタグの種類 | 概要 |
---|---|
パッシブタグ | RFIDリーダーからの電波をエネルギー元として動作するICタグ。アクティブタグと比べて通信距離は短くなるが、安価で導入が可能。 主な用途として、物流のパレット管理やアパレルの商品管理などがある。 |
アクティブタグ | 電池(電源)を内蔵したタイプのICタグ。通信距離はパッシブタグと比べて長くなるが、電池の管理が必要になる。 主な用途として、温度センサーによる鮮度管理などがある。 |
セミパッシブタグ (セミアクティブタグ) |
パッシブタグとアクティブタグ両方の特徴をあわせ持つICタグ。通常はパッシブ型として動作し、RFIDリーダーからの呼びかけ(電波照射)があった時だけ、内蔵電源を使用して電波を発信する。 主な用途として、スマートメーターなどがある。 |
周波数による分類
「UHFタグ」と「NFCタグ」
周波数帯による分類では、主に「UHFタグ」と「NFCタグ」に分けられます。また、RFIDリーダーも周波数帯に合わせて選択する必要があります。例えば、NFCタグをUHF帯のRFIDリーダーで読み取ることはできないため、RFIDによる運用を検討の際はご確認ください。
ICタグの種類 | 概要 |
---|---|
UHFタグ | UHFは300MHzから3GHzの周波数帯を用いた電波のことで極超短波とも呼ばれる。UHF帯RFIDのICタグとして通信に使用されるのは主に920MHzの周波数となる。 通信可能距離は1メートルから10メートルと長いが、水分や金属に弱いといったデメリットがある。 |
NFCタグ | 交通系カードなどのFelicaや、社員証などで使用されるMIFAREをベースに、互換性を維持するために開発され、13.56MHzの周波数を用いた近距離無線通信規格に対応したICタグ。UHFタグと比較して、水分や遮蔽物への耐環境性に優れている。スマートフォンによってはNFCタグを読み取ることができる機種もある。 通信可能距離は、10センチメートル程度の近距離。 |
04.ICタグ・RFタグの選び方
ICタグには、ラベルタイプのものやプラスチックなどのハードケースに包まれたものなど、さまざまな種類が存在します。
読み取り距離、金属への対応、耐久性、1つあたりの価格など、それぞれ特徴がありますので、導入する際は使用する状況に合わせたものを選んでください。
05.読み取り方法のバリエーション
複数のタグもスピーディに
一括で読み取る
RFIDの電波が届く範囲内にあるICタグを一括で読み取ります。
例えば、ダンボールの中身を検品する際、バーコードによる運用では箱を開封して内容物を目視もしくはバーコードスキャンで1点ずつ確認していましたが、RFIDなら開封することなく、高速で一括検品が可能になります。
長距離から近距離まで
通信距離を変えて読み取る
電波を遠くまで届けるには、強い電波を出す必要があります。反対に、近くだけに電波を届けるには弱くします。
このように電波の強弱を調整することによって、手の届かない高所にあるものを読んだり、読み取る範囲を手元に限定して他のICタグを読まないようにしたり、さまざまな利用目的に対応することが可能です。
カテゴリに分けて読み取りも可能
条件をつけて読み取る
広い範囲を一括で読み取るのが得意なRFIDですが、特定のコードが書き込まれたICタグだけを絞り込んで(マスクをかけて)読み取る「フィルタリング機能」を備えています。
特定の商品カテゴリに限定した棚卸や在庫管理、書き込み(エンコード)時に効果を発揮します。
ICタグから返ってくる電波を利用
ICタグを探す(探索)
特定のICタグだけを読み取る設定にすることで、そのICタグがどこにあるのか探し出すことができます。
目視では確認できないアイテムも、ICタグから返ってくる電波が強い方向を探ることで、まるで金属探知機のように探し出すことができます。
動画で解説「読み取り・探索の様子」
一括読み取りの方法
どのように探索する?
06.コードの書き込み(エンコード)
ICタグ・RFタグを識別するためのコード情報は、タグの中にあるICチップのメモリ領域(EPCメモリ)に書き込まれます。
- 参考情報
- ICタグのメモリ領域は全部で4種類から構成され、このうち、コード情報が書き込まれる領域は「EPCメモリ」と呼ばれます。
メモリ領域の詳細は「RFIDとは?(技術知識編)ICタグ・RFタグの構造と機能」をご覧ください。
数字とアルファベット(A〜F)
書き込めるコード情報
数字とアルファベット(A〜F)を組み合わせたコードを書き込むことができます。ひらがなや記号は使用できません。
また、書き込めるコードの桁数は4の倍数という制限があります。なお、書き込みできる最大桁数はICタグによって異なり、書き込み領域を超える記入はできません。
「アプリ」または「RFIDプリンター」で
書き込みの方法
ICタグは購入した時点ではコードが書き込まれていない状態、もしくは重複したコードが書き込まれている状態となります。
そのため、使用する前に必要なコード情報を書き込む必要があります。
方法1 RFIDリーダーとアプリで書き込む
RFIDリーダーと、スマートフォンなどの端末にインストールしたアプリケーションを使って書き込みます。アプリ画面に書き込むコードを入力し、書き込みしたいICタグにRFIDリーダーを近づけて1つずつ書き込みを行います。
その際、誤って他のICタグに書き込まないように、RFIDリーダーの電波出力を弱く設定し、書き込みしないICタグを離して作業します。
方法2 RFIDプリンターで書き込む
RFIDプリンターを使用することで、ICタグへのコード情報の書き込みと、ラベル部分への管理番号やバーコードの印字を、同時に連続して行うことが可能です。書き込むICタグの数が多い場合や、ラベル印刷も並行して行いたい場合に効果を発揮します。
書き込みができるのはラベルタグに限定されますが、中にはRFIDプリンターで使用できるようにラベル状になった金属対応タグもあります。
動画で解説「アプリを使用した書き込みの様子」
書き込みは難しい?
- 参考情報
- ICタグ・RFタグを提供するメーカーおよび販売業者によっては、エンコードサービスやラベル印字サービスを有料で行ってくれるところもあります。なお、当社でもエンコードやラベル印字に加え、シール加工サービスのオプションメニューもご用意しています。