01.RFIDリーダーの仕組み

ICタグのコード情報を読み取る、またはコード情報を書き込むためには電波を利用しますが、この電波を送受信するのはRFIDリーダーのアンテナです。 そして、電波の送受信の開始と停止、出力の強さなど、アンテナへ司令を出すのがRFIDリーダーの制御部です。

また、RFIDリーダーで読み取った(受信した)コード情報をアプリケーション上で処理するのが、パソコンやスマートフォンといった端末の役割になります。

ICタグの情報をRFIDリーダーのアンテナで読み取り、パソコンなどの端末で情報を処理します
参考情報
電波利用申請について
RFIDリーダーは電波出力(送信出力)の仕様によって、電波利用申請が必要かどうかが決まります。
申請が不要
電波出力が250mW以下のものは「特定小電力」に分類されます。通信距離は1メートル程度ですが、申請手続きの手間がなくRFIDリーダーを利用することが可能です。
申請が必要
電波出力が250mWより上で1W以下のものは「高出力」に分類され、申請が必要です。2019年3月に「陸上移動局」が施行されたことで、手続きが簡略化され屋外でも利用しやすくなりました。申請することで、国内すべての陸上で長距離読み取り対応のRFIDリーダーを利用できます。
電波利用申請」を詳しくを見る

02.RFIDリーダーのタイプと特徴

RFIDリーダーのタイプは大きく5つに分けられ、タイプ毎に特徴が異なります。導入の際にはどのタイプのRFIDリーダーが適しているかを正しく選択することで、RFIDの効果を最大限に引き出します。

02-01.セパレート型

導入がしやすく汎用性が高い

「セパレート型」はスマートフォンやタブレットとBluetoothでペアリングして使用するハンディタイプの製品です。コンパクトながら電波の送受信に特化しており、取り扱いも比較的シンプルです。バッテリーを搭載しているため、電源がない屋外でも手に持って移動しながら作業できます。

本体だけでは読み取ったコード情報を処理することができないため、情報処理用のペアリング端末を用意する必要がありますが、様々な製品とペアリングできるため、既に保有している端末をそのまま利用できます。

端末の買い替え費用や操作トレーニングを最小限にすることで、導入コストが抑えられるほか、端末のバッテリー切れや故障が発生した際にも、別の端末にペアリングし直すことで作業を継続することが可能です。

ハンディタイプで汎用性が高い「セパレート型」
コンパクトで携帯性が高く、営業中の店舗内でも気軽に使用できます

メリット

  1. コンパクトで携帯性が高い
  2. ペアリングできる端末が豊富
  3. 倉庫や屋外で移動しながら使用できる

デメリット

  1. ペアリング端末を用意する必要がある
  2. RFIDリーダーとペアリング端末を持つと両手が塞がる
  3. 充電はRFIDリーダーとペアリング端末それぞれで必要

セパレート型に該当する製品

「R-5000シリーズ」究極の使い心地を追求したRFIDリーダー

さまざまな領域・運用レベルに対応できる柔軟性

「SR7」小型 × ハイスペックRFIDリーダー

フリースタイル仕様であらゆる利用シーンに適応

「DOTR-2000シリーズ」長距離 × バーコードスキャン対応RFIDリーダー

完全防水 & バーコード搭載、Windows PCにも対応

「DOTR-900Jシリーズ」No.1実績 × シンプルRFIDリーダー

シンプル設計・手軽に使用できるRFIDリーダー

このような使い方がおすすめ

セパレート型はコンパクトで持ち歩きしやすいため、移動しながらの業務に適しています。利用目的・用途に合わせてペアリング端末を選ぶことで、現場での生産性をさらに高めます。

  1. アパレル店舗の棚卸
  2. 倉庫内のピッキング
  3. 紛失した工具の探索

02-02.ライドオン型

スマホを本体の上部に取り付ける

「ライドオン型」はセパレート型の進化系で、ペアリングするスマートフォンやハンディターミナルをRFIDリーダー本体の上部に取り付けられる、ハンディタイプの製品です。

ICタグは本体グリップ部分のトリガーを引いて読み取ります。バーコードスキャナ搭載の端末を取り付けた場合は、モード切り替えボタンを押すことで、同じ操作でバーコードの読み取りが可能な機種もあります。

端末の取り付けには市販のクアッドロック、または各メーカーが用意している専用アクセサリを使用します。また、端末を取り付けずにセパレート型のように使用することもできます。

ペアリング端末を本体上部に取り付ける「ライドオン型」
屋外でも移動しながら使用できるため、運送業などで効果を発揮します

メリット

  1. RFIDリーダーとペアリング端末を片手で持つことができる
  2. 業務内容に合わせてペアリング端末を選べる
  3. 倉庫や屋外で移動しながら使用できる

デメリット

  1. 本体上部に端末を取り付けるため、重量が増す
  2. 本体のサイズが大きいため、携帯方法が限られる
  3. 取り付けができない端末もある

ライドオン型に該当する製品

「DOTR-3000シリーズ」コンパクト × 長距離対応RFIDリーダー

長距離・コンパクトの高性能RFIDリーダー

「RFD90」高堅牢×ハイパフォーマンスのRFIDリーダー

高堅牢×ハイパフォーマンスのRFIDリーダー

「RFD40」大容量バッテリーと優れた操作性を備えたRFIDリーダー

大容量バッテリーと優れた操作性のRFIDリーダー

「RFD8500」長距離 × 高速読み取り対応RFIDリーダー

高速 × 死角のない読み取りで作業精度アップ

このような使い方がおすすめ

トリガーを指で引いて操作するライドオン型は、ICタグを大量に読み取るシーンに適しています。用途に応じてペアリング端末を載せたり外したりできるため、作業の自由度が高いのも特徴です。

  1. バックヤードの検品作業
  2. 倉庫での入出荷検品
  3. 運送業の納品チェック

02-03.モバイル搭載型

RFIDリーダーと端末が一体化した

「モバイル搭載型」はRFIDリーダーとハンディターミナルが一体となった製品です。1台でICタグの読み取り制御からアプリケーションでのデータ処理まで行います。本体の形状はライドオン型のRFIDリーダーに似ています。

バーコードスキャナを搭載し、幅広い業務用途に使用できます。ハンディターミナル側をユーザーが自由に選ぶことはできませんが、ソフトウェア・ハードウェアともに専用に設計されているため、多機能で操作性が高いのが特徴です。

そのため、ICタグとバーコードの読み取り切り替えがしやすいほか、設計された重量バランスで本体が持ちやすい、アプリケーションの制御がしやすいといったメリットがあります。

専用の端末とRFIDリーダーが一体化した「モバイル搭載型」
多機能で操作性が高く、検品や資材管理など幅広く活躍します

メリット

  1. ペアリングの必要がなく、接続が途切れない
  2. 本体の充電が1つで済む
  3. 倉庫や屋外で、移動しながら使用できる

デメリット

  1. 特定の機種しか選ぶことができない
  2. リーダー部分・モバイル部分のどちらかが故障すると、デバイスごと修理しなければならない
  3. 導入時のコストが高い傾向にある

モバイル搭載型に該当する製品

「RFR901」高速 × 長距離対応RFIDリーダー

ハイパフォーマンス・疲れにくい設計で働き方を次のステージへ

「RFR900」高速 × 長距離対応RFIDリーダー

長距離 × 全方向読み取りで生産性向上

「MC3300XR」高速 × 長距離対応RFIDリーダー

高速・ロングレンジスキャン対応RFIDリーダー

このような使い方がおすすめ

モバイル搭載型はバーコードスキャン機能が搭載されているため、ICタグとバーコードの読み取りが必要なシーンに選ばれます。また、製品構成がシンプルで充電も1台で済むため、端末の管理負担を軽減します。

  1. 倉庫での入出荷検品業務
  2. 工場での設備点検業務
  3. 建設現場での資材管理

02-04.デスクトップ型

カウンターや壁面に設置できる

「デスクトップ型」はカウンターの上や壁面に設置して使用する据え置きタイプの製品です。使い方としては、遠くから・高速での読み取りではなく、近距離で使用する場合がほとんどです。用途としては、レジ会計や生産ラインのチェックなどが挙げられます。

読み取り制御は本体に接続した端末側のアプリケーションで行い、読み取る手元での操作はほとんど必要としないため、ハンズフリーでの利用が可能です。また、自動で読み取りを行う運用にも適しています。

バッテリーを搭載していないため、常時給電が必要です。

カウンターなどに設置して使用する「デスクトップ型」
ハンズフリーで使用できるため、レジ業務や製造業の工程管理などにオススメです

メリット

  1. 比較的簡単に設置ができる
  2. 必要なエリアのみ読み取りできる
  3. 給電できるため、バッテリー切れの心配がない

デメリット

  1. 持ち歩きながら使用できない
  2. 長距離読み取りには適さない
  3. 設置するスペースの確保が必要

デスクトップ型に該当する製品

「TS100」ワイヤレス接続対応RFIDリーダー

USB / Bluetooth / 無線LAN接続対応のRFIDリーダー

「DS9908R」スキャナー一体型RFIDリーダー

RFID機能をプラスしたハイブリッドスキャナ

このような使い方がおすすめ

デスクトップ型は近距離から1つずつ読み取るシーンに最適です。通信または電源ケーブルだけで設置でき、省スペースで移動もしやすいため導入が簡単です。

  1. 小売店のレジ業務
  2. 文教施設の図書管理
  3. 製造工場の生産工程管理

02-05.固定型

天井・柱・壁・棚・床に設置する

「固定型」はデスクトップ型よりも用途が広く、細かな読み取り制御が可能な据え置きタイプの製品です。天井や柱、壁、棚、床などへ設置して使用します。

RFIDリーダー(制御部)とアンテナが一体型の製品と、アンテナが独立した製品の2種類があります。独立タイプの製品は、RFIDリーダー1台に対して複数のアンテナを連結することが可能です。

RFIDリーダーの中でも設置や事前の読み取り調整が必要な製品ですが、セットアップ後は「常時読み取り」や「エリア限定の読み取り」など、高精度な読み取りが可能です。また、機器を持ち出す必要がなく、ハンズフリーでの使用が可能です。

デスクトップ型と同様、バッテリーを搭載していないため常時給電が必要です。

天井や柱、壁、棚、床などに設置できる「固定型」
特定箇所を高精度で常時読み取るため、動線管理や入出荷検品で使用されます

メリット

  1. 任意の場所に複数のアンテナを設置可能
  2. 調整を行うことで高精度な読み取りができる
  3. 用途に合わせてアンテナを選べる

デメリット

  1. アンテナは別途購入が必要
  2. 事前に設置や読み取り調整の工程が必要
  3. 電波利用申請した場所のみに使用が限定される(LBTを搭載していない場合)

固定型に該当する製品

「Impinj R700」高いデザイン性とデータ通信のワイヤレス化でより使いやすくなったRFIDリーダー

スタイリッシュ・Wi-Fi対応の固定型RFIDリーダー

「Speedway Revolution」高性能 × 拡張性の高いRFIDリーダー

用途に応じてアンテナの組み合わせが可能

このような使い方がおすすめ

固定式は細かな制御によって高精度な読み取りが可能です。ダンボールに入った商品など、多数のICタグを読み取るシーンに適しています。

  1. フォークリフトによる入出庫
  2. トンネルゲートを用いた商品入出荷検品
  3. 特定エリアへの入退場管理