01.RFIDリーダーの仕組み
ICタグのコード情報を読み取る、またはコード情報を書き込むためには電波を利用しますが、この電波を送受信するのはRFIDリーダーのアンテナです。 そして、電波の送受信の開始と停止、出力の強さなど、アンテナへ司令を出すのがRFIDリーダーの制御部です。
また、RFIDリーダーで読み取った(受信した)コード情報をアプリケーション上で処理するのが、パソコンやスマートフォンといった端末の役割になります。
02.RFIDリーダーのタイプと特徴
RFIDリーダーのタイプは大きく5つに分けられ、タイプ毎に特徴が異なります。導入の際にはどのタイプのRFIDリーダーが適しているかを正しく選択することで、RFIDの効果を最大限に引き出します。
02-01.セパレート型
導入がしやすく汎用性が高い
「セパレート型」はスマートフォンやタブレットとBluetoothでペアリングして使用するハンディタイプの製品です。コンパクトながら電波の送受信に特化しており、取り扱いも比較的シンプルです。バッテリーを搭載しているため、電源がない屋外でも手に持って移動しながら作業できます。
本体だけでは読み取ったコード情報を処理することができないため、情報処理用のペアリング端末を用意する必要がありますが、様々な製品とペアリングできるため、既に保有している端末をそのまま利用できます。
端末の買い替え費用や操作トレーニングを最小限にすることで、導入コストが抑えられるほか、端末のバッテリー切れや故障が発生した際にも、別の端末にペアリングし直すことで作業を継続することが可能です。
メリット
- コンパクトで携帯性が高い
- ペアリングできる端末が豊富
- 倉庫や屋外で移動しながら使用できる
デメリット
- ペアリング端末を用意する必要がある
- RFIDリーダーとペアリング端末を持つと両手が塞がる
- 充電はRFIDリーダーとペアリング端末それぞれで必要
セパレート型に該当する製品
このような使い方がおすすめ
セパレート型はコンパクトで持ち歩きしやすいため、移動しながらの業務に適しています。利用目的・用途に合わせてペアリング端末を選ぶことで、現場での生産性をさらに高めます。
- アパレル店舗の棚卸
- 倉庫内のピッキング
- 紛失した工具の探索
02-02.ライドオン型
スマホを本体の上部に取り付ける
「ライドオン型」はセパレート型の進化系で、ペアリングするスマートフォンやハンディターミナルをRFIDリーダー本体の上部に取り付けられる、ハンディタイプの製品です。
ICタグは本体グリップ部分のトリガーを引いて読み取ります。バーコードスキャナ搭載の端末を取り付けた場合は、モード切り替えボタンを押すことで、同じ操作でバーコードの読み取りが可能な機種もあります。
端末の取り付けには市販のクアッドロック、または各メーカーが用意している専用アクセサリを使用します。また、端末を取り付けずにセパレート型のように使用することもできます。
メリット
- RFIDリーダーとペアリング端末を片手で持つことができる
- 業務内容に合わせてペアリング端末を選べる
- 倉庫や屋外で移動しながら使用できる
デメリット
- 本体上部に端末を取り付けるため、重量が増す
- 本体のサイズが大きいため、携帯方法が限られる
- 取り付けができない端末もある
ライドオン型に該当する製品
このような使い方がおすすめ
トリガーを指で引いて操作するライドオン型は、ICタグを大量に読み取るシーンに適しています。用途に応じてペアリング端末を載せたり外したりできるため、作業の自由度が高いのも特徴です。
- バックヤードの検品作業
- 倉庫での入出荷検品
- 運送業の納品チェック
02-03.モバイル搭載型
RFIDリーダーと端末が一体化した
「モバイル搭載型」はRFIDリーダーとハンディターミナルが一体となった製品です。1台でICタグの読み取り制御からアプリケーションでのデータ処理まで行います。本体の形状はライドオン型のRFIDリーダーに似ています。
バーコードスキャナを搭載し、幅広い業務用途に使用できます。ハンディターミナル側をユーザーが自由に選ぶことはできませんが、ソフトウェア・ハードウェアともに専用に設計されているため、多機能で操作性が高いのが特徴です。
そのため、ICタグとバーコードの読み取り切り替えがしやすいほか、設計された重量バランスで本体が持ちやすい、アプリケーションの制御がしやすいといったメリットがあります。
メリット
- ペアリングの必要がなく、接続が途切れない
- 本体の充電が1つで済む
- 倉庫や屋外で、移動しながら使用できる
デメリット
- 特定の機種しか選ぶことができない
- リーダー部分・モバイル部分のどちらかが故障すると、デバイスごと修理しなければならない
- 導入時のコストが高い傾向にある
02-04.デスクトップ型
カウンターや壁面に設置できる
「デスクトップ型」はカウンターの上や壁面に設置して使用する据え置きタイプの製品です。使い方としては、遠くから・高速での読み取りではなく、近距離で使用する場合がほとんどです。用途としては、レジ会計や生産ラインのチェックなどが挙げられます。
読み取り制御は本体に接続した端末側のアプリケーションで行い、読み取る手元での操作はほとんど必要としないため、ハンズフリーでの利用が可能です。また、自動で読み取りを行う運用にも適しています。
バッテリーを搭載していないため、常時給電が必要です。
メリット
- 比較的簡単に設置ができる
- 必要なエリアのみ読み取りできる
- 給電できるため、バッテリー切れの心配がない
デメリット
- 持ち歩きながら使用できない
- 長距離読み取りには適さない
- 設置するスペースの確保が必要
02-05.固定型
天井・柱・壁・棚・床に設置する
「固定型」はデスクトップ型よりも用途が広く、細かな読み取り制御が可能な据え置きタイプの製品です。天井や柱、壁、棚、床などへ設置して使用します。
RFIDリーダー(制御部)とアンテナが一体型の製品と、アンテナが独立した製品の2種類があります。独立タイプの製品は、RFIDリーダー1台に対して複数のアンテナを連結することが可能です。
RFIDリーダーの中でも設置や事前の読み取り調整が必要な製品ですが、セットアップ後は「常時読み取り」や「エリア限定の読み取り」など、高精度な読み取りが可能です。また、機器を持ち出す必要がなく、ハンズフリーでの使用が可能です。
デスクトップ型と同様、バッテリーを搭載していないため常時給電が必要です。
メリット
- 任意の場所に複数のアンテナを設置可能
- 調整を行うことで高精度な読み取りができる
- 用途に合わせてアンテナを選べる
デメリット
- アンテナは別途購入が必要
- 事前に設置や読み取り調整の工程が必要
- 電波利用申請した場所のみに使用が限定される(LBTを搭載していない場合)
固定型に該当する製品
このような使い方がおすすめ
固定式は細かな制御によって高精度な読み取りが可能です。ダンボールに入った商品など、多数のICタグを読み取るシーンに適しています。
- フォークリフトによる入出庫
- トンネルゲートを用いた商品入出荷検品
- 特定エリアへの入退場管理